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【インタビュー】ファインダーで切り取るユーモラス。写真家・あまのしんたろうが思いを語る


 
-人生においての作品制作のきっかけを教えていただきたいです。
あまの:大学の時に、友達が写真部に入っていたのですが、写真は自分1人で作品を撮影してタイトルをつけるのが当たり前だったので、作家性が強いというか、展示までを自分で行うから100%自分でやり切れるし、やれて当たり前の媒体だから面白いと思いましたね。個人的には写真にタイトルをつけるということがお客さんにも伝わりやすいし、いいなと思ってやり始めました。
 
-基本の作品のコンセプトはどういったものがあるのかということをお聞きしたいです。
あまの:自分の作品は写真にタイトルをつけることがメインです。これは、写真を始めようと思ったときからのスタイルです。タイトルをつけて、僕が感じた面白さを共感してもらえればと思います。できるだけ写真の題材は、誰でも撮影できる物が良いですね。写真を撮りに行くときも、何もなさそうな場所であったり、観光地で撮影するのであれば観光地の住宅地とか、そこで生活している人達の暮らしが見えるようなところに行くようにしています。
 
-(撮影場所は)ちょっと離れたところというイメージですかね?
あまの:そうですね…発見してきましたよ、見つけてきましたよ、とあからさまに提示するよりは…しれっとこう、ここすっげぇ面白いですよっていう感じが、当たり前のようにあるっていうスタンスで見せると面白いかなと思っています。
 
-今後、芸術祭でやってみたいことがもしあったら教えていただきたいです。
あまの:ゲームブック方式のような作品をつくっていて、写真を何十枚も撮っておいて、やんわりしたストーリーを作って、右の道に行くなら何番の写真、左の道行くなら何番の写真みたいな感じで展開する作品を考えています。見る人に選択を与えて、最後に結末が変わる。それをちゃんと空間を作って、全部ドアで開いてくみたいな、インスタレーションのような作品をつくれたら面白いだろうと思うけど、大変ですね(笑)
 

 
-実際に写真を撮っている時は、どんなことを考えながら、撮影モチーフを探していますか?
あまの:自分が歩いていて、ちょっと迷っている状態というか、知らない場所に行きがちです。何かある所にスポットが固まっていることが多いので、その面白いものが固まっていそうなエリアに入った時に一生懸命モチーフを探します。写真のタイトルはその場で思い浮かぶときもあるし、何が面白かったか自分でも言語化できないまま撮っている時もあります。撮影場所に行くことはよく考えますけど、撮っているときは、モチーフを探しているだけって感じですね。
 
-ありがとうございます。写真を撮っている中で工夫しているところ、これは外せないというポイントがあったらぜひ教えていただきたいです。
あまのさん:モチーフの面白さを見る人がわかるか曖昧な作品には分かりやすいタイトルつけて、大体わかるだろうという作品には、ぼんやりしたタイトル付けて、バランスを取るようにはしています。普通の人だったら撮らないような写真だけど、自分が面白いと思って展開したものは、ここが面白かったですよと表現して、バランスを取るようにはしているかな。
 
-インタビューはこれで以上です。ありがとうございました。
 
[インタビュアー:菅 日香里(とよたまちなか芸術ラボ研究生*)]
 
〈あまのしんたろう〉
愛知県生まれ。写真家。東京農業大学畜産学科卒業。
東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。その後、東京を拠点に写真展や自主アートイベントを開催。2012年に地元の愛知に拠点を移し、現在は豊田や豊橋などのアートイベントに参加して展示活動中。
2015年から豊橋市アートイベント「sebone」に参加。
2018年からとよた市民アートプロジェクトイベントに参加。
代表作品は、スナップ写真に独自の視点のタイトルを付けるシリーズ。何気ない風景をユーモラス(時にはシニカル)なイメージに変えていく。その他の作品シリーズでも一貫して「現実世界と空想世界を繋ぐ」ことをテーマに作品を制作している。
2021年第5回・写真出版賞アート部門の最優秀賞を受賞。
 
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あまのしんたろうさんには、芸術祭に先立ち、「プレ展示」と「アーティストを知る ワークショップ&トークセッション」を行っていただきます。
【プレ展示《フライングモンキーテイル》】
会期:9月3日(土)~18日(日)
会場:緑陰ギャラリー(豊田市西町5-46-1 名鉄線高架下)
詳細はコチラをご覧ください。
【アーティストを知る ワークショップ&トークセッション】
日にち:9月18日(日)
ワークショップ:10:00-12:00
トークセッション:13:30-15:00
詳細は近日お知らせします。
 
*とよたまちなか芸術祭では、「とよたまちなか芸術ラボ」を開講して、アート分野における次世代の実践者(活動の企画運営者となる人材)の育成に努めています。
その中で今回、とよたまちなか芸術ラボの研究生が、お話を聞いてみたい出展者の方にインタビューを行うプログラムを実施しました。

2022.09.02 Fri
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